はじめに
石垣島を訪れた際、私は毎回レンタカーを借りて滞在中の足としていますが、海沿いの道を走っているとマングローブ林をよく目にします。
複雑に絡み合う特徴的な根の造形や水辺の森は、本土では目にすることがなく、強く印象に残ります。
「マングローブの水中写真を撮影したい。水面の下ではどのような姿をしているのだろう。」
そう考えたことが、今回の撮影のきっかけとなりました。
マングローブは「見る場所」を少し変えるだけで、まったく別の世界になります。
本記事では、水中から観察したマングローブ環境と撮影時の注意点をフィールドレポートとしてまとめます。

撮影ポイント
■ 潮位
撮影の成否を決める最も重要な要素は潮位です。
今回、河口から歩いてアクセスできるマングローブで撮影を行いましたが、そのような場所の場合、干潮時は水深が浅くなりすぎるため、水中撮影は困難になります。
といいつつ今回は、スケジュールの都合上、干潮いっぱいの時間帯での撮影となりました。
(掲載写真は、なるべく水深が取れる場所を見つけて撮影したものです。)
満潮時に同じ場所を訪れてみましたが、明らかに撮影しやすそうでした。
潮が満ちることで海の水が入りこみ、透明度が良くなっていました。
■ 風
風が強いと水面が揺れ、半水面写真は撮りづらくなります。
半水面写真の理想は、
- 水面が鏡のように落ち着いている状態
- 波紋がほとんど立たないコンディション
風は弱いほど撮影条件は良くなります。
■ 透明度と時間帯
透明度は予想以上に変動します。
特に注意したいのが、
- カヤックツアー
- 人の出入りが多い場所
- 浅場での移動
これらがある場所では泥が巻き上がり、根のシルエットすら見えませんでした。
可能であれば、
- ツアーが入らない時間帯、場所
- 人の少ないエリア
を選ぶことが重要です。

見られる生物
マングローブでは、たくさんの生き物たちが観察できました。
観察できた生物:
- ハゼ類
- 小型のカニ類
- フエダイ系と思われる魚
足元では常にハゼが飛び跳ねて移動していました。

水中での撮影テクニック
マングローブ撮影で最も難しいのは、被写体ではなく環境そのものです。
■ 濁りとの戦い
底質は細粒の泥で構成されており、わずかな動きでも濁りが発生します。
重要なのは、
- 動作は慎重に
- しかし長く留まらない
- 静かに、素早く
自分が作った濁りがフレームインしてしまい、撮影を終わらせることも多々ありました。
■ 光の使い方
おすすめは以下の構図です。
- 逆光・斜光によるシルエット
- 水面反射を活かした構図
- 根をフレームとして使う構図
- 半水面(分割構図)
マングローブの根は自然の額縁のように機能します。
法的配慮とマナー
マングローブ撮影では、技術以上に注意すべき点があります。
多くのエリアは、
- 私有地
- 保護区域
- 管理された自然環境
である可能性があります。
「入れそうに見える場所」であっても、無断エントリーが許可されているとは限りません。
今回の撮影では、マングローブツアー会社に水中撮影をしたい旨を事前相談し、当日は撮影に同行していただきました。
フィールドアドバイス
実際に撮影して感じた点をいくつか挙げます。
- 長袖・長ズボンの水着は必須
- サンダルは泥にはまり抜けなくなる可能性があるため靴タイプ推奨(磯シューズならなお良し)
- 泥の匂いは数日間残る(これが結構きつい)
- 爪の間まで泥が入りやすく数日間取れない
そして、マングローブ林周辺に生息しているハブにも注意が必要です。
単独行動は避け、可能であればマングローブツアー事業者へ事前相談することをおすすめします。
土地利用や安全面の理解にもつながります。
マングローブという時間
撮影中、マングローブの若木を何度も目にしました。
マングローブは数十センチ程度の若木になるのは早いそうですが、これから大人の木になるまで100年近い時間を要するそうです。

まとめ
こんな人におすすめです:
- 環境撮影が好きな方
- 干潟の生態系に興味がある方
- 被写体を追いかけない撮影をしたい方
普段、魚を追いかけて鼻息荒く撮影をしている筆者ですが、マングローブの静かな森の中での撮影は時間がゆっくりと流れ、とても貴重な体験となりました。

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